「聴こえる」ことを大切に~認知症予防への熱い思い~
8日、市民交流センターおあしすで、年金者組合吉川支部主催「補聴器セミナー」が開かれました。
高齢難聴の補聴器購入費用助成を求め、議会で取り組んでいる私たち共産党議員団も「ぜひ」と声をかけていただき、参加してきました。
もちろん、感染対策には十分注意を払ってのセミナーです。
講師の株式会社NICの澤井さんで、「補聴器認定技能者」の資格をお持ちの方です。
澤井さんは熊本生まれで、今も高齢のお母様が熊本で一人暮らしをされているとのこと。
コロナ以前は毎月帰省し、お母様に会っていたそうですが、コロナ禍で帰省できなくなった今は毎日必ず一度、電話をかけて話をしているそうです。
お母様に認知症になってもらいたくないし、自分もなりたくないと強くおっしゃっていました。
NICは創業35年で、20年ほど前からビジネスとして補聴器販売に取り組んできたそうです。
6年前、厚労省オレンジプランに「難聴は認知症のリスク要因」と示され、補聴器の大切さを改めて知り、認知症にならないようにより多くの方に、元気なうちから補聴器をつけてほしいと思うようになったそうです。
認知症高齢者を一人でも減らしたい、澤井さんのお話はそういう強い思い、熱い思いを感じさせるものでした。
お話を聞くことができて、とても良かったです。
近年注目を浴びている「軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)」。
日常生活への支障はないけれど、認知機能の低下がみられる状態を言います。
具体的には、こんな症状です。
- 少し前に聞いたことを忘れて何度も確認を繰り返す
- 世間を騒がせた最近の大きなニュースの内容の記憶があいまい
- 数週間前の特別なイベントの内容があいまい(誰の結婚式、どこで開催されたなど)
- 少し前のことでも忘れてしまうことがよくある
このMCIの状態を早期に発見して、そのリスク要因を特定し、適切な介入をすることができれば認知機能を維持することができ、回復することがわかっています。
予防的に歯科受診するのと同じように、定期的に検査を受け、MCIを早期発見することが大切と澤井さんは言います。
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認知症を予防するうえで大切なことは睡眠・食事・運動・読書やクロスワードパズルなど・習い事や将棋などと言われていて、習い事が認知症の予防になるのは「外出」すること、「他者と交流」することであり、その結果様々な聴覚刺激があり、脳が活性化すると言われています。
ではなぜ難聴が認知機能に影響を及ぼすのでしょう。
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聴覚刺激が入らないこと➡コミュニケーションが困難になる➡心理的・情緒的影響➡社会との交流・参加の減少➡聴覚刺激の減少=認知機能への影響
・・・と、聴覚刺激が入らないことが負のスパイラルを生み、認知機能の更なる低下をもたらすのです。
聴覚刺激を維持することは、やはりとても大切なことだと学びました。
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耳の構造、何故難聴になるのかの説明もいただきました。
蝸牛にある有毛細胞が破損して、機能が低下するということ。有毛細胞が小さい音を増幅させて聞こえるようにしたり、高音から低音の聞き取りの調整をしているそうです。
高齢になると入り口付近の有毛細胞が倒れてしまい、高音の聞き取りが苦手になるそうです。
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面白かったのは「耳年齢」のチェックです。
渋谷などで若者に帰るように促すために流しているというモスキート音。テレビで流されたとき全く聞こえなくてショックを受けましたが、今回もやはり全く聞こえませんでした。
それは仕方がないとして、50歳以下に聞こえるという12,000ヘルツの音も私には聞こえませんでした。
中には、「みんなが聞こえる」という8,000ヘルツの音が全く聞こえず、ショックを受けている方もいらっしゃいました。日常会話は普通にできても、いつの間にか聞こえが悪くなっているということは、実際にあることだと思いました。
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日本人は約1,900万人の難聴者がいますが、補聴器を使用している人は18%に過ぎないそうです。
張力の低下を自覚していない人が47%、自覚していても補聴器をしていない人が35%。
補聴器を使えば、難聴でも社会とのつながりが途切れることはなく、認知機能の維持もできて、その人らしい普通の生活が送れるようになるといいなぁと思います。
そのためにも、補聴器購入費用の公費助成が必要だと改めて思います。