『滝山病院問題を考える』
少し前の話になってしまいましたが、五差路会のオンライン講演会『滝山病院問題を考える』第三弾に参加しました。
講師は2月に報道されたEテレのETV特集「ルポ死亡退院~精神医療・闇の実態~」にも登場され、虐待被害にある患者さんたちの救出に尽力される相原啓介弁護士でした。
八王子市の滝川病院では計5人の看護師が逮捕・書類送検されました。
滝山病院の院長はかつて埼玉県庄和町(現春日部市)で朝倉病院事件を起こした人だということは、報道でも繰り返されているので多くの人がご存知のことだと思います。杜撰で、何のためにするのかわからないような治療が行われ、特にIVH(中心静脈栄養)という心臓に近い太い血管に高カロリーな栄養液を点滴する治療法が大好き。昨日までご飯を食べていた人でも一定の状態になればIVHを入れてしまい、患者さんが暴れると違法な7点拘束をしてしまう・・・。
看護師のモラルも崩壊していて、事実を伴わない記録を勝手に作って書いているとのこと。
例えば褥瘡(床ずれ)のある患者さんに対して「体位交換表」を作り実施することが求められているそうですが、実際には体位交換してもいないのに記録だけ適当に埋めている!違法な身体拘束は当たり前で、患者さんを拘束して夜勤のスタッフは寝てしまう!夜勤看護師の9割はバイトで、寝られるので仕事は楽だし給料は良いとのことでした。患者さんを殴りながら管理するのが嫌な人は入ってこないけれど、非常勤看護師のネットワークで広がってしまうとも。
こうした虐待を東京都に通報しても握りつぶされてしまうことが問題視されていました。
虐待が強く疑われ、緊急性が高くないと都は動かない。録音や録画がないと「強く」とは認められず、動かないと。日本では「被害者を守る』という視点が弱すぎる。
加害者の基礎・処罰などの状況は国際的に見てみても異常。
低医療費政策、安かろう悪かろうの医療政策を突破しない限り、虐待はなくならない。
滝山病院の患者さんの半数以上は生活保護を受給していて、行き場のない人たち。生活保護・長期入院で行政の監視の目も弱まってしまい、透明性を失い、閉鎖性の中で虐待が起きていると。
日本の精神医療の異常な長期入院。世界の精神科病床の37.1%が日本に集中していると、驚くような事実も紹介されました。
医師や看護師が患者さんを虐待するということ自体がとても信じられない、胸の痛む話です。精神障害者の人権を無視して、入院させて病院に閉じ込めておけば良いという日本の医療の在り方そのものに大きな問題があると改めて学びました。