ウクライナの歴史と文化について学びました

2022年04月25日

昨日は日本共産党吉川市議員団、3月議会報告会を開催しました。
前半は議会報告、後半は学習会というちょっとあわただしいスケジュールでしたが、たくさんの方が参加してくださいました。

学習会は「ウクライナの歴史と文化」。
講師は市内在住の早稲田大学名誉教授、伊東一郎先生でした。
一郎先生はロシア文学の研究者でウクライナにも造詣が深く、講義時間はたった30分という短い時間でしたが、とても興味深いお話をしてくださいました。

ヨーロッパではロシアに次いで2番目の広さのウクライナ。
平原が広がり、自然の障壁がなく、川さえも冬になると凍ってしまうため、橋がなくても渡って来れてしまう・・・。
攻め込もうと思えば簡単に攻め込めてしまうという地理的条件。
モンゴル、リトアニア、ポーランドなどに支配されたり、ロシア・オーストリアで分割されたりソ連に組み込まれたり。
近隣の強国に翻弄され続けてきた歴史。
帝政時代にはユダヤ人指定居住区だったことから、ウクライナにはユダヤ人が多く住み、ウクライナ人がそのユダヤ人たちを大量虐殺した歴史もあり・・・。

ウクライナに住むウクライナ人は4,600万人。
ロシアや旧ソ連邦諸国や周辺諸国にもウクライナ人は多く住み、複雑な歴史からウクライナに住むウクライナ人が全てウクライナ語を話すわけでもなく。
「ロシアにとってのウクライナは、ロシア国内の100以上ある民族の一つで、しかしベラルーシと共に起源を共有する最も近い民族」というお話もあり、民族・言語・宗教・領土などが複雑に絡み合う長い歴史があったことがよくわかりました。

ウクライナがようやく独立を勝ち取ったのが1991年のソ連崩壊後。直後からクリミアの帰属をめぐって、対立。
どんな歴史があったとしても、ロシアのウクライナ侵攻、軍事行動、化学兵器の使用や市民の虐殺やレイプは絶対に許されません。
が、なぜこんなことが起きているのかを理解することはとても大切なことだと思います。
ほんのちょっとだけですが、理解するきっかけをいただきました。
質疑応答の場面では、参加者の方から「ウクライナがこれ以上抗戦を続けると、被害が大きくなる一方だ。早く降伏した方が良いのではないか」という質問も出されました。
一郎先生の回答は「それはウクライナの人々が決めることだ」というもので、本当にその通りだと思いました。

参考文献として紹介された本、「物語 ウクライナの歴史ーヨーロッパ最後の大国」(中公新書)を読んでみようと思います。

余談ですが、下の写真は、私が参加者のみなさんに一郎先生を紹介した時のものです。
手に持っている『国立感染研は安全か』という本ですが、一郎先生も一部執筆されています。
国立感染症研究所は新宿にありますが、早稲田大学文学部のすぐ隣ということです。
新型コロナウイルスも「武漢のウイルス研究所から誤って流出したものでは・・・」という説が、真偽のほどはわかりませんが、当初ささやかれていました。
ウイルスや感染症の研究所というのは確かにそういうリスクも併せ持った施設だろうと思います。
そういう施設を住民に十分知らせることもなく閑静な住宅街に移転させようという国の姿勢と、研究所のダクトが早稲田大学文学部の方に向いているという危険性もあり、新宿区の住民と早稲田大学の教職員が89年、移転差し止めを求めて提訴したそうです。
裁判は最高裁まで戦いましたが、05年上告棄却とされたそうです。
この本は裁判の記録、そしてなぜ裁判を戦うのか理論的根拠を記したものです。
難しかったので全部は読めませんでしたが、とても興味深い内容のものでした。
こういう本の執筆者のお一人だ言うことも含め、一郎先生の紹介をさせていただきました。