ミャンマーで何が起きているのか?

2021年04月10日

ピースボートのon-lineセミナー、『ミャンマー;軍政と戦う人々~その声を聞く~』に参加させていただきました。


2月1日に国軍がクーデターを起こしアウンサン・スーチー氏を拘束、国家権力の掌握を宣言しました。抵抗する市民が、これまでに600人以上殺されているとのことです。
なぜこんなことが起きているのか学びたい、そんな気持ちで参加させていただきました。

最初に話してくださったのは、ミャンマー出身の民主化・人権運動家のキーン・オーンマーさんでした。
1988年に起きた民主化運動に学生として参加した経歴を持つ方です。

https://peaceboat.org/36978.html
https://peaceboat.org/36978.html

1988年、学生と軍の衝突を機に始まった民主化運動。3,000人以上の学生が参加し、たくさんの人が弾圧を受けました。その時市民を守ってくれたのは、武装した少数民族だったとのことでした。

2月のクーデターで国軍が国家権力の掌握を宣言していますが、その国軍は市民に非常に残忍な顔を向けています。武装勢力がいる少数民族への攻撃が、ずっと続いています。
市民は団結し不服従運動を続けていますが、そこには公務員やエリートサラリーマンも参加しているそうです。
2カ月半にわたり、毎日抗議運動が続いています。
しかしそれは平和的な運動で、ソーシャルメディアを生かした平和的な抗議です。
そして決意していることは、2020年11月の選挙で選ばれた国会議員による民主的な国家を必ずつくるということです。

国軍はあらゆるところで市民に向かって攻撃をしています。武装勢力がいる、少数民族への攻撃が続いています。
48人の子どもを含む600人以上が殺され、3,000人以上が拘束されています。病院も襲撃され、殺傷兵器・ロケットランチャー(ロケット弾発射機)などが使用されています。市民を殺すために、市民の頭を狙った攻撃が行われています。
夜、子どものためにココナッツを取りに出たお父さんは、ココナッツを取り10歳の娘に手渡しました。それを受け取って家に入ろうと走り出した娘が前のめりに倒れ、慌てて抱き起してみると銃弾を受けて亡くなっていた・・・。そんなエピソードの紹介もありました。
3月27日に国軍により殺された市民は100人を超えました。
3月27日というのは、1945年、日本の占領に対して市民が立ち上がった、ミャンマーにとっては大切な記念日です。そんな大切な日を、国軍は「国軍の日」としてしまいました。
昨日は一つの町で40人が殺されました。医療従事者さえその町へのアクセスを阻まれ、救助に向かうことができませんでした。

国軍による、少数民族の地域でレイプや殺人などは何十年も続いてきました。
同じことが今、子どもたちを対象に行われようとしています。国民に恐怖感を与えることで黙らせようとしています。
失踪した若い女性、拘束された女性に性暴力が行われていないかと危惧しています。
4月1日からはWi-Fiが使えなくなっています。戒厳令が敷かれている地域もあり増す。国軍による夜の襲撃が多い状況です。

国軍は何十年も少数民族へのレイプや殺人を続けてきたのに、罪を問われることがありませんでした。モラルがない中で、暴力をエスカレートさせています。
ミャンマーは国家として破綻しようとしています。何十年も同じ罪を犯しつつけてきた国軍と、ミャンマーの市民は戦っています。国軍の人道に対する罪、ロヒンギャ・少数民族への攻撃の不処罰、これが問題の本質としてあります。
群が政治的な力を持たない国、文民国家をつくりなおす、民主主義を確立する。市民社会が上げ続けた声を実現するために、ミャンマーの市民は今戦っています。屈してはいません。
現地の人々は屈していません。皆さんも一緒に声を上げてください。・・・そんな訴えでした。

驚いたのはミャンマーの国軍の軍事訓練を12か国が提供していて、残念なことに日本も提供国の一つだということでした。日本政府はミャンマー国軍とのパイプがあり、それをつかって事態を改善するとしてきましたが、それも全く功を奏していない状況。
日本の対ミャンマーODA、2018年度まで有償資金協力1兆1,368億円、無償資金協力3229.62億円、技術協力984.16億円。2019年度の日本対ミャンマーODAは1,688億円、無償協力は138億円、技術協力66億円と報道されているそうです。
ODAで実現した事業は様々ですが、その中でミャンマー最大都市ヤンゴンの軍事博物館跡地を利用してつくられようとしている、日系企業による大規模複合施設の賃料が国軍に支払われたのではないかとの疑念が生じているとのお話がありました。
軍事博物館跡地の持ち主は国軍で、賃料の支払いも国防口座。にもかかわらず、ミャンマーの国防予算にも一般会計予算にも賃料の記載がないと現地で報道されたそうです。今、事実調査を求めているとのお話がありました。

セミナーを受講して、ミャンマーで起きていることが日本と無関係の話ではないということが良くわかりました。残忍なミャンマーの国軍と、それと戦う市民。
そこで私たちの日本という国がどんな役割を果たしているのか、無関心であっては絶対にいけないのだと学びました。