米兵による性犯罪根絶のため日米地位協定の見直しを求める意見書」僅差で否決

2024年10月02日

9月議会に私が提出したのは、「米兵による性犯罪根絶のため日米地位協定の見直しを求める意見書」でした。

沖縄で繰り返される性犯罪

米軍嘉手納基地所属の空軍兵長が昨年12月に沖縄本島で16歳に満たない少女を車で誘拐して自宅に連れ去り、同意なく性的暴行を加えたとして、今年3月に那覇地検が同兵長を起訴しました。米軍基地があるが故の犯罪であり、少女の尊厳を深く傷つけた行為には、非常に怒りを感じます。この事実を日米両政府が約6カ月にわたって伏せていた事実も重大な問題です。

米軍関係者による性犯罪は米統治下時代、そして沖縄の日本復帰以降も後を絶ちません。
沖縄県警の発表によると、1972~2023年の51年間で米軍構成員など(米軍人、軍属、その家族)の刑法犯による摘発は6235件、摘発者は6124人。そのうち殺人や強盗、不同意性交などの凶悪犯の摘発は586件、759人に上ります。

近年では1995年9月に米海兵隊員ら3人による女子小学生への暴行事件、2008年2月には米海兵隊員による女子中学生への暴行事件、2016年4月には元海兵隊員の軍属による20歳の女性への暴行・殺人事件などが発生しています。さらに今年5月26日、沖縄に駐留する米海兵隊員が沖縄県内で女性に性的暴行をしようとし、けがを負わせるという事件が発生しました。
沖縄では今年の1月から5月までに、同様の事件が3件にのぼると報じられています。
しかし日米地位協定により、米軍人・軍属らの犯罪について日本側の捜査・取り調べ・公判・刑の執行を含めた刑事裁判権が著しく制限されています。また日米地位協定が米兵の性犯罪等の凶悪犯罪を許しています。

9対10の僅差での否決

9月議会に私が提出したのは、「米兵による性犯罪根絶のため日米地位協定の見直しを求める意見書」でした。
賛成したのは共産党3名、平和市民クラブ3名、自民党2名、無所属1名の計9名、未来会議2名、公明党3名、セレクト吉川3名、無所属2名、計10名が反対し、この意見書は反対多数で否決されてしまいました。

アンコンシャスバイアス???

未来会議からは「日米地位協定が米兵の性犯罪等の凶悪犯罪を許しているという根拠は何か。アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見・思い込み)ではないか」という質問が出されました。
米軍人は出入国管理法から除外され、ビザなしで自由に日本に出入国することができます。罪を犯してもいて日本の警察は基地の中に立ち入ることもできない治外法権です。このような状況の中で、上記に示した米兵による性犯罪・凶悪犯罪が沖縄で起きているのではないでしょうか。
今、この問題が様々なところで問題となっていることをどのように考えるのか、同じ言葉を沖縄の人々、特に被害に遭った人々の前で言えるのかどうか、聞いてみたいところです。

石破首相も「日米地位協定見直しを」と言うが・・・

10月1日に新たに内閣総理大臣に指名された石破茂氏も、日米地位協定の見直しを口にしています。ただし石破氏の言う見直しは日本の自衛隊と米軍とを対等なものとして、アメリカの戦争に日本が追随することやグアム島に自衛隊基地を置くことなどにも言及しています。憲法9条2項を破棄して国防軍を創設することや、アジアに核兵器を持ち込むなど非常に危険な発想です。
日米地位協定の見直しを心から求めますが、その方向は石破さんとは相いれないものであることもお伝えしておきたいと思います。
決してアメリカと同等になって戦争するための見直しではありません。
戦争をしない、平和を守り続けるためにこそ見直しを求めます。