通所介護サービス事業所の収入減 厚労省が利用者の負担を求める異例の事務連絡
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い介護事業所では利用抑制がおこり、経営面でも大きな影響を受けました。
全国介護事業者連名が5月に行った調査によると、「経営に影響を受けている」と答えた割合は、通所介護事業所(90,8%)、ショートステイ(76.0%)、訪問介護(47.0%)の順に多かったとのことです
こうした状況の中で厚労省は6月1日、異例の事務連絡を都道府県に対して出しました。
通所系介護サービス事業所ついて、ケアマネジャーと連携の上、利用者からの事前の同意が得られた場合には、
利用者の負担増を求めても良い・・・簡単に言うとそんな内容の事務連絡です。
通所系介護サービスの介護報酬の設定は、サービス提供時間ごとに細かく分けられています。
下の雹をご覧ください。
厚生労働省の事務連絡は、例えば通所系介護サービスを「6時間以上7時間未満」で利用している人が同意されるなら、月に1度に限って「8時間以上9時間未満」で請求しても良いという内容です。
例えば要介護3の方が「6時間以上7時間未満」の通所介護サービスを利用する場合の利用料は1回あたり784円です。
「8時間以上9時間未満」の利用料は902円です。
負担が増えるのは118円です。
それほど大きな金額ではないかもしれません。
月に一度118円の負担増であれば、利用する方も同意しやすいかもしれません。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて介護事業所の経営がひっ迫しているのに、なぜその負担を利用者に負わせるのでしょうか。
新型コロナウイルスは「指定感染症」に指定されています。「指定感染症」に対し責任を負うのは国であり、個々の利用者ではありません。
介護事業所には介護保険から9割の報酬が支払われます。
個人の118円の負担増は、全体としては1180円の介護事業所の収入増となります。
こうした金額が、本当に通所系介護サービス事業所の経営を支えるものとなるのでしょうか。
本来は第二次補正予算で、しっかりと予算化されるべき問題でした。
日本共産党高橋千鶴子・宮本徹両衆議院議員は7月1日、こうした通所系介護サービス利用者への負担増をやめるよう、橋本武厚労副大臣に要請しました。