『眠っているウサギ』三郷公演

2025年01月20日

昨日は『眠っているウサギ』、三郷公演でした。

この作品を観るのは一昨年7月の川崎公演以来2度目でしたが、やはり素晴らしい、胸を揺さぶられる作品でした。
胸を打つポイントはたくさんあり過ぎて、ここには書ききれません。
が、何といってもウサギは本当に怠けていたのか?ウサギにはウサギの事情があったかもしれないのに、みんなで勝手に「怠けていた」「自分の能力を過信していた」と決めつけて良いのか?
カメはなぜウサギを起こそうともせずに、その横を黙って通り過ぎたのか?
勝つとは何なのか、勝つことが全てなのか、そんな強烈なメッセージがはっきりと描かれています。
イソップさんの言うとおりに、カメは努力家でえらい!ウサギはダメなヤツとすっかり刷り込まれている私だち。
一歩離れて冷静に、客観的に物事を見なくてはいけないと、改めて気付かされます。

そして「何だ、お前も独りぼっちじゃないか」の一言。
それが良い子で優等生の高校生がブチ切れて、ホームレスの方を死なせてしまう一言だったという事実に、うまく言えませんがググっと惹き付けられてしまいます。
きっと多くの方がこの場面に共感し、思わず涙がこぼれてしまうのではないかと思います。

ホームレスの方を学校にお招きして、その人生や生活を語っていただくという取り組みを高校生たちが始めるという展開と、加害者の少年に寄り添い更生を支えようとする大人たちの存在に、何か救いを感じます。
「野宿者ネットワーク」のみなさんが、実際にそうした取り組みをされているという事実にも胸打たれます。

もう10年以上前の話になりますが、勤務先の最寄り駅のロータリーにホームレスになりたてだと思われる青年が立ち尽くしているのを連日目にしていました。
恥ずかしそうに、所在なさげに、紙袋を二つ脇に置いて立っていました。
声をかけて良いのか悪いのかさんざん悩み、支援団体の方にお話をしました。
その後どうなったのかは知りません。
私の知っている方の中には、30代で家を失いかけた人もいます。怠けていて、ふざけた人生を送っていてホームレスになるわけではありません。
真面目に生きて一生懸命働いているのに社会の仕組みの中で家を失わざるを得ない人々もたくさんいるという事実にこそ、ちゃんと目を向けなくてはいけないのだと改めて思い知らされています。

私はお正月以来ずっと夢中でチケット販売をしていました。
170名超の方がご来場くださり、無事に公演が終わったことにホッとしています。
今日はすっかり「ウサギロス」に陥ってしまいました💦

7月には、今度は吉川中央公民館で同じくくるみざわしんさんの作品、『マリヤの賛歌―石の叫び』の公演を予定しています。
これからまた、忙しくなります。