映画『ノー・アナザー・ランド 故郷は他にない」

2025年03月12日

映画『ノー・アナザー・ランド 故郷は他にない』を観てきました。
ベルリン国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー映画のパノラマ観客賞とドキュメンタリー映画賞を受賞。アカデミー賞でも長編映画ドキュメンタリー賞を受賞した作品です。

実は最近、運転中はラジオの文化放送を聞いています。
夕方に放送される『長野智子のアップデート』という番組が気に入っているのですが、一昨日の放送ではこの映画が紹介され、長野さんが「絶対に観るべき映画だ」と熱く語っていました。

その放送に触発されてすぐに観に行ってしまいましたが、本当に観るべき一作でした。
1967年の第三次中東戦争以降、ガザ地区とヨルダン川西岸はイスラエルの軍事占領下にあります。イスラエルが「戦車の軍事訓練施設をつくる」という名目で、突然パレスチナ人が住む家々や学校を住民・子どもたちの目の前で破壊していきます。
トイレやキッチンまで破壊していく様子は、本当にいたたまれないものでした。
人々は破壊されるたびに移動し、堅穴での不衛生な暮らしを余儀なくされています。 
イスラエル人は黄色のナンバープレートの車に乗り、自由に移動ができます。でも、パレスチナ人は自由に移動することができません。不衛生な環境の中で子どもの病気・健康状態が悪化しても、自由に病院に連れて行くことさえ阻まれています。
こうした中でも抵抗を続けるパレスチナ人。まさに「故郷は他にない」ということだと思います。
そして破壊を続けるイスラエル人。抵抗するパレスチナの人々を、「反ユダヤ」だと断罪します。
抵抗を続ける活動家は逮捕されていきます。

恐らく、昨年6月におあしすで上映した『占領の囚人たち』の前段の話だと思います。
パレスチナの地を占領するイスラエル人にとって、パレスチナ人は犯罪者以外の何者でもなく、パレスチナ男性の4人にひとりがイスラエルにより逮捕・収監され、激しい拷問を受けています。
その現実を描いたのが名取事務所の舞台『占領の囚人たち』で、私はこの作品のDVD上映会に昨年取り組んだのです。
逮捕された人びとはあの舞台に描かれていたような、厳しく激しい拷問を受け、転向を迫られるのでしょう。
本当に胸が痛んでなりません。

ただこの映画の優れたところは、ふたりのパレスチナ人と二人のイスラエル人とでこの映画をつくり上げているところだと思います。イスラエル人のなかにもこの状況は良くないと、共存?平和を求める市民活動がある。昨日の長野智子さんのラジオでも、イスラエル人のそういう活動を紹介していました。
民間レベルでは憎しみを超えて何とかしなくてはという動きが広がりつつ、憎しみの連鎖もまた止まりません。
どうしたら本当の平和が訪れるのか・・・。