複雑な気持ち
昨夏海外赴任した次男に会いに行ってきました。
私たちが約1週間滞在したのは、ニューヨークでした。アメリカ大陸に上陸したのは初めてです。
時差
日本とニューヨークの時差は13時間で、飛行時間も13時間。
火曜日の午前11時にこちらを発ったのに、向こうに着いたらやはり火曜日の午前11時。月曜日の午前1時に向こうを発ったのに、こちらに着いたら火曜日の午前4時。とても不思議です。
普段夜更かしの私ですが、向こうでは毎日12時前には眠くなって寝てしまい、朝は3時ころには目覚めてしまい💦これを時差ボケと呼ぶのかどうかわかりませんが、とてもしんどい毎日でした。
質の違う寒さ
ニューヨークに降り立って最初に感じたのは、風の冷たさでした。
その冷たさが半端ではなく、骨身に沁みると言うか。感じたことのない寒さでした。
日本よりは寒いだろうと覚悟してはいたものの、もう四月だからそこまで寒くはないだろうと思っていたのが大間違いでした。
ヒートテックの下着に毛糸のセーターに裏起毛のジーンズにと、1~2月の普段の格好そのままで行ったのですが、特に朝方は凍えそうでした。
もしかしたら学生時代、ゴールデンウィークに登った槍ヶ岳とかはこんな寒さだったのかもしれませんが、経験した記憶のない、けた違いの寒さでした。
地下鉄
ニューヨークの地下鉄は見るからにとても古い印象で、何と1904年に操業を開始したそうです。
最初は民営で、その後市営の地下鉄も操業し、1940年に完全市営化。1953年にはニューヨーク州の公社の運営になったようです。
感動したのはその古い地下鉄の多くの駅に、やはり見るからに古そうなエレベーターが設置されていたことです。日本で「バリアフリー」という言葉が認識されるようになり、駅にエレベーターやエスカレーターが設置されるようになったのはまだこの20~30年くらいじゃないでしょうか?
ニューヨークでは100年も前から、高齢者や障害者や重い荷物を持った人など、様々な人が地下鉄を利用する可能性を認識し、誰もが使えるように作られていた事実にとても感動しています。
自転車レーン
市内のあちこちにシティバイク(レンタサイクル)が置かれていて、30分以内に返却すれば無料だそうです。
自転車専用レーンが設置されている道路が多く、しかも日本のような狭いレーンではなく普通の1車道ぶんくらいちゃんとあって、そこを自転車がガンガン走るのです。
車道の方まではみ出してガンガン走り、信号も軽く無視して走るので、横断歩道を渡る際に一番怖いのは自転車でした。
タイムズスクエア
私たちが泊まったホテルはタイムズスクエアにありました。
80年代には「犯罪の巣窟」と呼ばれ、とても怖い所だと思われていた地域ですが、今は「世界の交差点」と呼ばれ、世界のショービジネスの中心地として知られるところです。
ホテルのすぐそばにブロードウェイミュージカルの舞台が、所狭しと立ち並んでいました。
今までいろんなところに出かけてきましたが、こんなにも人がたくさんいて、グシャグシャと感じたのは初めてです。「グシャグシャ」という言葉が一番ぴったりな印象の、非常に雑多で慌ただしい街でした。
いくつも並ぶスクリーンが夜でも消えずにつきっぱなしで、眩しすぎるというか。
この電気代は一体いくらなのだろうとか、こういうのでも地球の温度が上がっちゃうんじゃないのかなぁとか不安にも駆られてしまいました。
5番街
ティファニーにルイ・ヴィトンにディオールに、ブランド物にはかなり疎い私でも知っているようなお店が立ち並び、ロックフェラーセンターにトランプタワーにと、世界の大金持ちが恥ずかしげもなくその富を自慢するかのようなビルの数々。
エンパイア・ステートビルからの夜景も素晴らしい景色でした。
反映の影で
息をのむほどの繁栄と輝きの一方で、ホームレスの方が非常に多いというのも率直に感じたところです。
タイムズスクエアの最も賑やかなところに座り込みを決め込む年配の女性。
若い女性のホームレスの方もいました。地下鉄の階段で、繰り返しお金をくださいと声を上げる男性も。
ニューヨークの地下鉄は24時間営業で、駅も24時間空いているそうです。
そして路上よりは暖かいので、ホームレスの方が寝場所を探してやってくるそうです。
そしてなんと、集まってきたホームレスの方を焼き殺してしまった事件が、今年だけで少なくとも2件発生しているそうです。
大金持ちとホームレスの方とが共存しているというよりも、ホームレスの方が次々と生み出され、その人たちは「何をされても仕方がない」と見做されているような気がします。
とても気が重く、複雑な気持ちです。
もう一つ気が重いのは、ニューヨークの人々は地下鉄を待つときも、ホームすれすれには並ばないという話です。なぜならば、ホームに突き落とされてしまうリスクがあるから。
線路からできるだけ離れて、壁に近い方で身を守りながら地下鉄を待つ・・・。
そういう危険と隣り合わせの街。
やっぱりとっても複雑な気持ちです。